江戸時代後期の岐阜の豪商で、横山鈴翁という人がいます。鈴翁は茶人として、俳句、和歌、漢詩、書画、陶芸等に優れた作品を遺しました。
いわゆる旦那衆のひとりで、空襲で消失した本願寺岐阜別院(西別院)の『百枝松』は、鈴翁の寄進によるものだそうです。
節分に因んで掛けられたその鈴翁の軸を見せてもらいました。
見るや人
角の者へてる
鬼にさん茂
可弥越多々以帝
南無阿弥陀仏
見るや人
角のはえてる
鬼さんも
かねをたたいて
南無阿弥陀仏
歌の下に鐘を叩く鬼の絵。
鬼の絵と歌は鈴翁の作で、おそらく鈴翁自身が臨済宗瑞龍寺の萬寧師に書を依頼したものだろうということでした。
鬼は誰なんでしょうね。
節分ということで、偶々出会った軸でしたが、聞くところでは、元々は、年の暮れ、お取り越しの時節に掛けられたものだそうです。