伊自良川コクチバス調査報告 ①
1日遅れの報告です。

定置網を設置後、予定どおり雨も降り、条件は整いました。
ところが、おまいりが忙しく、川へ行く時間がとれません。

午後、唯一空いた1時間半ほどの時間で、川へ行こうとワクワクしながら帰ってくると、ニイムラ師から電話があったとのこと。早速連絡を取りました。

「ダメだ。たいへんなことになった・・・。」
と、ニイムラ師の絶望とも歓喜ともとれる、第一声。

要約すると、おおよそ以下の4点。

・ボクが朝無理だということなので、午前中、定置網をみてきた。
・定置網に大量のイシガメが入り、この状況で調査の続行はできない。
・カメが入らない対策を考え、定置網を再設置し、調査再開。
・定置網は撤収したので、川へ行く必要はなし。

十数匹入っていた。こんなにイシガメの多い川ははじめて・・・

思わぬ自然のパワーを見せつけられたかたちとなりました。


実は、定置網設置にあたって、カメ・スッポン・ヌートリア等の小動物の進入も予測はしていました。肺呼吸をするこれらの生き物が入った場合、水中で窒息しないよう、捕獲網の一部分をちゃんと空中に出し、息ができるようにしてあったのです。(写真参照)
伊自良川コクチバス調査報告 ①_b0029488_18315976.jpg


ニイムラ師は、いつも、生き物の尊厳をむやみに奪うような調査・研究方法を好まれません。たとえば、定置網にかかったカメが窒息死するような状況は、極力避けるということです。

しかし、今回は、まさに、予想を遙かに超えた"想定外"のカメの出現でした。カメの重みで網が沈んでしまい、危うく、カメが溺死してしまうところだったそうです。失神・仮死状態のカメもいたようですが、ニイムラ師の手厚い看護?により、すべて復活し、伊自良川に帰って行ったとのこと。ヤレヤレ。

発信器を付けたサツキマスの追跡調査の時も、ボクは、今回と同様に、ニイムラ師の自然・生きものへのあたたかい眼差しを感じていました。

500円玉ほどの発信器は、生ゴムを細く切った特性の糸でサツキマスの体に固定されました。数週間の追跡調査が終わり、電池が切れた頃、ゴムが劣化し、発信器がサツキマスからはずれるという配慮です。

ちなみに、ボクの母校では、校内のコンクリートの構造物の中にアユを入れて、"実験"が行われていました。"実験"が終わると"研究者"たちは、そのアユを肴に、楽しくバーベキューをするのが習いだったとか・・・。どんな実験だったのか知りませんが、その生物学の"研究者"の見解は、"長良川河口堰をつくるべき。"でした。河口堰の是非は、政治や行政の問題であり、一市民の問題です。生物の立場で、いったいどういう発想で、河口堰の是をおっしゃるのか、ボクには理解できません。


さて、残念ながら、ボクたちは、恒にすべての生きとし生けるものに思いやりを持って接することができません。それは、ほとけさまの慈悲の領域です。でも、できることはした方がいい、そのてらいのない姿勢を、ボクはニイムラ師に見せていただいています。


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ウジャウジャいるカメをご覧ください。





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by e.wash-r | 2005-10-16 18:35 | ◆伊自良川だより | Comments(2)
Commented by ucchee at 2005-10-16 22:18 x
なんか、ほのぼのとした幸せな気持ちになりました。
カメたちの為に空気が入るところまで配慮するなんて!
素敵です。
Commented by e.wash-r at 2005-10-17 00:02
やさしいフリして、実はスッポンが入るのを期待しているのも事実。モクズガニも歓迎。

くれぐれも、やさしさにご用心。でも、ほのぼのとした気持ちになれるのははいいなあ。

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