蝋燭の色についての質問をよく受けます。
『浄土真宗本願寺派法式規範』によると、「蝋燭には次の四種があり、法要の種別によって使い分ける。」とあり、白蝋、朱蝋、金蝋、銀蝋のおおよその使い分け方が示してあります。
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白蝋:一般の法要に用いる。
朱蝋:報恩講や慶讃法要・年忌法要(ただし七回忌以後)・永代経開闢法要などに用いる。
金蝋:慶讃法要・仏前結婚式などに用いる。
銀蝋:葬儀・追悼法要・年忌法要(ただし三回忌まで)に用いる。
金蝋・銀蝋は白蝋の上に金箔・銀箔を押したもので、それぞれ朱蝋・白蝋を代用してもよい。
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これらは、原則的なもので、それぞれ独自の習慣や流儀等があっても、それはそれでいいと、ボクは思っています。「規範」と「慣習・流儀」、どちらが正しいかというより、そうすることの意義、あるいは従うことの価値を大切にしたいものです。
例えば、当地方では、年忌法要(いわゆる法事)の場合、「五十回忌に赤い蝋燭を立てる(それまでは白い蝋燭)」という慣習があります。
親の五十回忌であれば、それは、若くして親さんが往生されたことを意味しますし、子の五十回忌であれば、子どもさんがおそらくは成人する前に往生されたことを意味します。その往生から、五十年の歳月が過ぎたということは、当人がその五十年を生きてきたということでもあるのです。
そんな感慨と、最後のご法事ということが、「五十回忌の赤い蝋燭」という思い入れになったのでしょう。
Kさんは、過日、お母さんの五十回忌をつとめられました。嫁がれた娘さんたちととお孫さんが全員揃った賑やかなご法事。その時、Kさんが、"これで、もう法事をすることがなくなるなあ。"と、少しさみしそうにおっしゃいました。そのことばを聞いて、ボクも、何回もいっしょにおつとめをし、会食をしてきた人たちと会うことがなくなるんだなあと、やはりさみしく思ったことです。
今日、Kさんの家のお取り越し。なんとなく、五十回忌の時にKさんがおっしゃったことの話になりました。来年のお取り越しは、お孫さんたちを呼ばれたら、とお話ししました。
仏事は、ほとけさまのお慈悲にであうご縁、お楽しみがついてくるのもいいですよね。
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『西蔵坊だより』は、 森鏡山 正蓮寺の住職の日記です。
仏教のこと、山や川や海のこと、TIBETのこと等、思いつくまま書いています。
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