感想文 『地獄のDECEMBER』
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過日、「地獄のDECEMBER」という朗読劇を観てきました。
躊躇しましたが、F師に誘われ、"たまにはいいかな"という感じで市民文化センターへ。

いわゆる「南京大虐殺」を題材に、"人間の罪"を吐露する内容でした。加害者の家族としての苦悩がメインテーマだったのかな?何か釈然としない思いで観ていました。

そもそも重い内容なので、楽しむということは期待していませんでしたが、ずっと感じていた不快感は、ラストの『地獄は一定すみかぞかし』とういうセリフでピークに達しました。

あえて批判したいと思います。

この劇の構成においては、『南京大虐殺』も『戦争責任』も『罪深い人間』も『歎異抄のご文』も、ただ"材料"でした。作品、もしくは作者の意図のための材料なのです。

それらの"材料"は、一見、我が罪をあがなうようにちりばめられていましたが、ボクは、そこに体よく誇示された"苦悩する我が良心"、または"我が正義"を感じたのだと思います。そういうものを作品として観たいとは思いません。

戦争とは何か。
人間の罪、残虐性。
責任と言うこと。

いずれも、主体的に、科学的に、そして、なにより丁寧に考えることだと思います。


それと、もうひとつどうしても気になったこと。

『歎異抄』第2章の『地獄は一定すみかぞかし』というご文は、『救い』にであった宗祖のおことばです。我が罪業を信奉し嘆く、苦悩する良心の叫びではありません。

作者に『救い』を感じることができなかったことが残念でした。


書かなくてもいい事を書いてしまったのかも知れません。
ちょっとひねくれています。ご容赦を。





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by e.wash-r | 2007-04-30 01:51 | そらごと、たはごと | Comments(2)
Commented by あんこう at 2007-05-01 09:06 x
意図的にスルーしたのでコメントの資格はないのですが・・・

>"苦悩する我が良心"、または"我が正義"

というのは的確ですネ。やっぱりなー、という感じデス。

こういう感性って自己に対して(ひょっとすれば他者に対しても)ものすごい攻撃性を秘めていていそーな気がします。

ポスターの白蓮華がなにか病的でコワイです。

言わずもがなの上塗り?

確信犯的ひねくれデス。
Commented by e.wash-r at 2007-05-02 00:48
>こういう感性って自己に対して(ひょっとすれば他者に対しても)ものすごい攻撃性を秘めていていそーな気がします。

攻撃とまではいかなくても、少なくとも表明したいんだと思いますよ。
表明(攻撃)なら表明(攻撃)でいいと思うんです。
でも、するなら直球勝負ですよね。

あんこうさま
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