
W家お取越し。床には石枕の軸。親鸞聖人の石枕の逸話を若い当主はよくご存知でした。
当主:「うちは、少なくとも3代前まで、ぼくも含め、芸術とか情緒的なものには全く興味のない当主ばかりでした。」
当主のお母さん:「母が四季それぞれのお軸を掛けていました。この軸は、冬になると掛けています。確か軸の裏にメモが書いてあったような。」
そんな話になったので、どんなメモか軸を外して見てみることに。
「仏事用」という鉛筆のメモと「冬、雪景色」という赤インクの新しいメモ。
想像ですが、「仏事用」の仏事とは「お取越し」のこと。当地では、「おとりこし」のことを「おぶつじ」ともいいます。「おぶつじ」は固有名詞でもあるのです。
稲刈りが終わると雪の季節になり、それが冬であり、お取越し=「おぶつじ」の季節です。親鸞聖人を偲ぶ石枕の軸は、お取越し=「おぶつじ」の床飾りだったのだと思います。
いい気分で、帰宅後「枕石寺」を検索。
美濃四十八座をよろこばれたお同行が建ててくださった碑には、雪中、石を枕に、親鸞聖人が詠まれたという
寒くとも袂に入れよ西の風
弥陀の国から吹くと思へば
の句。
美濃四十八座でお取り次ぎをしてくださった宮崎幸枝先生と高山の町を歩いたとき、骨董屋さんで見つけた「大信海」と書かれた春慶の大きな丸盆。先生は、玄関に飾るとおっしゃっていました。親鸞聖人は、枕にした石に「大心海」と書かれたという逸話が残っています。
法座はありがたいなあ、と思います。
今朝、美濃四十八座の忘年会の案内をいただきました。下戸ですが参加予定。