某私立大学某学部某科の学生から聞いた話。 1 卒業論文が通らない学生が多いらしい。彼の学科では、おおよそ1/4の学生が、卒業できなかったとのこと。 ボクの感覚では、1/4もの学生が、卒論で通らないと言うのは、異様な感じがします。それなりにがんばっていれば、「さじ加減」というものもあるような気がするので。ボクたちの頃と比べると、何かにつけ厳しくなっているのかなと思って、そのあたりを尋ねました。 付属校(関係校)推薦・特技(主にスポーツ)による推薦で入ってきた学生と一般入試で入ってきた学生とでは、現実として入学時の学力に隔たりがあるそうです。4年の間に、それはそのまま二極化していく傾向にあり、そんなことが卒業の可否と関係しているらしいのです。もちろん、ある程度は想像であり、例外もあり、一般論ではないですが。 2 卒業して就職した先輩達が苦労しているらしい。 例えば、研究室の先輩のふたりが、精神的・体力的に疲弊して休職中とのこと。ふたりの先輩とも、成績は非常に優秀で、しかも、誠実で責任感のある方々だったそうです。 就職活動している学生は、企業の雰囲気や環境に非常に敏感になっているとのことでした。彼の友人が話題の「ワタミ」の入社試験を受けに行ったそうですが、「やる気のみなぎっているひとばかりで、自分は無理だろうと思った。」と」言っていたそうです。 こんな話を聞きながら、思ったこと。 小中高の付属校入試・いわゆる「お受験」でがんばっても、スポーツでがんばっても、大学の本業の「学問」でがんばっても、責任感をもって誠実にがんばっても、今の日本には、独自の関門やフィルターがいっぱいあって、結局のところ目の前のそれをクリアしていくのが、無事に生きていくということみたいです。 そんな困難な世の中だから、ボクたちは、こどもたちに、そこで生き抜いていくためにと、ありとあらゆる示唆をしてきたような気がします。 学力をつけなさい。モチベーション・やる気だよ。考える力を大切にしなさい。 やっぱりまじめが一番。思いやりのあるひとに。要領も大事。コミニュケーション力だよ。 体力をつけなさい。忍耐力をつけなさい。チームワーク。礼儀礼節道徳を身につけること。 等々。 勉強に励み、スポーツや芸術を楽しみ、自分と仲間を大切にすることに異論はありません。 ただ、ちょっと考え方を変えてみようと思ったのです。 ボクたちおとなは、困難な世の中を生きぬくことを、こどもに求めているばかりでいいの? ボクたちには、そもそも、その困難な世の中の、そのシステムをよりよいものにする役割があるんじゃないの? 「ボクたちがつくった社会・システムは困難でいっぱいだ。だから、そこに適応し耐えられるおとなになれ。」というのは、なんだかなあ。 世の中を変えていくとかいう大それたことではなくて、ボクはおとなとして楽しんでいるかということを、ちゃんと見つめてみることが大切なんだろうなあと思ったわけです。 いろいろあるけど、おとなの世界もまんざらじゃないよ。だから今は、こどもはこどもの感性で存分に遊んでいたらいいよ。と、とりあえず、そんな嘘が言えるおとなになりたいです。 Tumblr 『西蔵防だよん』 【 1年前の今日のblog 】 【 2年前の今日のblog 】 【 3年前の今日のblog 】 【 4年前の今日のblog 】 【 5年前の今日のblog 】 【 6年前の今日のblog 】 【 7年前の今日のblog 】
by e.wash-r
| 2012-03-19 00:12
| そらごと、たはごと
|
Comments(4)
Commented
by
aidokusya
at 2012-03-20 07:45
x
情報過多で 自分に関わることと 理解出来ない子どもが
増え、対応能力が不足しているのではないかと、感じます。 昔 子どもだった頃を思い出すと 身近な出来事に即座に 反応していたように思います。 現在は、情報過多で 取捨選択できず、反応し行動する力が 育っていないのではないか。 指示待ち 指導待ち 無関心 無気力で生きてこれたのではないか。 大学専門学校卒業者の 半分は 離職または就職して いないとの記事を読み感じています。
0
Commented
by
空扇
at 2012-03-20 21:27
x
あんまり難しく考えなくても、子供のうちこそ好きなことを好きなだけすればよいのではないかと思います。
好きなことは困難があればどうすれば続けられるか考えます。頼まれなくても一生懸命、どうすれば面白いか考えます。けがをして叱られれば、どうしたら叱られずに続けられるか考えます。 その、自分で考えて決断して切り抜けることの繰り返しが貴重な体験なのだと思います。小さな体験でも自分で決めてきたことが多分、大人になってからの自分で決める、判断することにつながるのだと思います。 眼を輝かせて熱中すること、でもPCゲームの作られた世界は別です。自然を相手の、予測不能の事どもに対峙して小さくても自分で判断してきたこと、蟻んこを日がな一日眺めたことでも眼を輝かせて熱中したことが大切なのだと思います。なんで今はそれができなくなってきたのだろう。 きっと大人が干渉がましい。枠にはめているのか。 キッズサンガで遊びを作りながら過ごしている子供達は大丈夫だろうと思うのですが、追跡したら結果はどうなんだろう。17年もたったら追跡結果が出そうな気がするのだけれど。
Commented
by
e.wash-r at 2012-03-22 00:38
aidokushaさま
自身の反省なんですが、こどものことについて、こどもに何かを求めたり、教育について云々することはすこし控えた方がいいのかなあ、と考えました。 おとなになっちゃったんだから、おとなの世界を見せるしかないかとという感じです。 こどもに、俺みたいになるな!じゃなくて、俺みたいになれ!って言えることも、ある意味、大事なんじゃないかと思うわけです。 思うのは、決めるのは、こどもですけどね。 生意気ですいません。
Commented
by
e.wash-r at 2012-03-22 00:55
空扇さま
好きとか面白いとか熱中とか、そういう感性、そして体験、いいですよね。 夏休みって、スゴイ季節だと思います。こどもは夏休みに育てられるって言ってもいいくらいだと、ボクは思っています。すくなくとも、ボクは夏休みに育ててもらったと思っています。 夏のお泊まり会をはじめて17年。お父さんになった子もいます。お寺で過ごした夏休みのこと、忘れていないと思いますよ。言えるのは、それくらいなあ。 また、ゆっくり、いろんなお話聞かせて頂きたいと思っています。
|
検索
最新の記事
カテゴリ
全体 智慧と慈悲 お聴聞 おまいりにて ようこそ正蓮寺へ Tibet/西蔵 ふるさと そらごと、たはごと 遊びをせんとや生れけむ 溺レル Photo only moblog Web法話 ◆伊自良川だより ■お知らせ・ご案内など■ 【今月のことば】 愚考 本堂再建 最新のコメント
以前の記事
2024年 12月 2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 外部リンク
リンク
HP 正尊寺 BL.日曜学校なんでも帳 師と仰ぐご縁さんのお寺。 ご住職は、「だって、楽しいじゃん。」が口癖。 HP 海徳寺 BL. 住職つれづれ日記 海徳寺ご住職のweblog。 とにかく有り難い。 何で何でナモなの 佐賀・妙念寺HP。真宗HPの草分け。1000を越す法話。 林雙寺GO!GO! 林雙寺若院・林雙寺治療院長のblog。体と世間のトラブルは、おまかせ。 帰雲小舎 御母衣湖畔にみんなで作った古電柱の丸太小屋。 タグ
お寺のこと(2498)
ふるさと(1138) 雑言(1059) ほとけさま(835) こども(658) 自然(568) 思い出(434) たべもの(433) モノ(430) 人(367) 旅(279) 慈悲(260) 写真(257) outdoor(195) 映画(131) 季節(104) テレマーク(103) 本(102) 音楽(92) 宗教(78) ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||