少女A
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祥月のおまいりで聞いた庭のセッコクの話。


木曽谷がふるさとのAさん。

Aさんが少女だったころ、伊勢神宮の式年遷宮の用材を村から切り出したそうです。

花の好きなおじいさんに育てられたAさんは、切り出した檜の大木に着床したセッコクを見つけます。

物欲しそうにセッコクを見るAさんに、村の人は、大木から株を採ってくださったそうです。

以来、木曽谷を離れ、岐阜に来て、就職して、結婚して、今の家に住むようになるまで、ずっとその思い出とともにセッコクを育ててきたAさん。

三株に増えたセッコクは、Aさんの庭で、今、白いつぼみをつけています。


Aさんがセッコクを見つけた檜の大木は、昭和48年(1973)の式年遷宮の用材になったのだと思います。用材の切り出しは、遷宮のおよそ10年前に行われるので、昭和38年ごろ、Aさんが少女だったころから、50数年が経ったことになります。

Aさんは、「セッコクは、わたしとほぼ同い歳、こどものころから、ずっといっしょだった。」とおっしゃいます。

時の流れが速く、促成、時短が美徳とされる風潮。そんななかにも、AさんとAさんのセッコクが辿った時の流れは厳然とあるわけです。

ささやかな日常がつづいているということに、混沌の対義語としての平和を見たような気がします。




                    
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by e.wash-r | 2017-05-11 23:16 | ふるさと | Comments(0)
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