高校有志の同窓会。
先生と卒業以来のHをはじめ、男だけ。往時と今が交錯して心地よい時が流れる。
1次会の終わりに、今回の会を呼びかけたKが神妙な顔で締めた。
「みなさん、悔いのない人生を送ってください。」
「ほんとうに好きなことをしてください。」
鉄人と呼ばれたKのその意外なことばに、一同一瞬の沈黙。
誰も知らなかったと思うが、困難な状況のなかで、Kは同僚と友人を亡くしている。状況を変えることは難しいが、以降、彼は、常に苦悩する人の傍らに立つ姿勢を貫いている。
彼が、同窓会を呼びかけたことも、たぶん、そのことに無関係ではない。
唐突な彼のことばに、戸惑いながらも、みな、間違いなく何かを感じた。生きたことばとはそういうものだと思う。
ボクは、「ほんとうに好きなことをしてください。」の「ほんとうに」は「好きなこと」にかかるのか、「してください。」にかかるのかを、国語のテストの解答を求めるように、聞き自問した。たぶん、どちらでもKの気持ちには叶うと思った。
みんなと別れたあと、最後は畏友Eと深夜の喫茶店へ。あるプロジェクトについて、延々と真摯な話をした。
カジカガエルが鳴きだした。
捕まえたい。
投網が有効ではないか。
漁業権を返したけれど、カジカガエルなら問題ないはず・・・
つくづく、出遇ってしまったんだなあと思う。
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