伊自良川の蛍をカヌーで見に行くようになって、30年ほど。
はじめて乗ったとき小学生だったNちゃんが、今回、かわいらしいふたりのこども、旦那さんといっしょにまた来てくれました。感無量です。
懐かしさをたどっていたら見つけた6年前のlog。
船に乗ると必ず思い出す「りゅうのめのなみだ」のこと。ちょっとセンチメンタルに再掲。少し手直ししました。
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こどものころ大好きだった浜田広介の童話「りゅうの目のなみだ」。何回読み返したかわからない。
ボクに「悪」という概念が乏しいのは、この物語が好きだったことと無関係ではないような気がする。悪を悪と言い切る世界観が今でも苦手だ。
と言いつつ、日本の河川行政を「悪」と決めつけ、抗議を繰り返した時期があった。長良川に河口堰は似合わないと思った。(今もそう思っている・・・)
大学で河川の勉強をしたものとしても、また、一市民としても、河口堰の問題点を述べることはできる。しかし、論争に意味はなかった。誰もが正論を持っているわけだから。最後はパワーゲームになる。行き着くところは、政争だ。
「河口堰がない方が美しいと思うんです。気持ちいいんです。楽しそうなんです。遊べるんです。」
好きだから、という言い訳がいい。
もう、進水してから30年以上になるミクマック450というカナディアンカヌー。
こどもとオトナ、戦略的に、政治家やマスコミ関係者を何度も乗せた。川面から眺める景色を見せたかった。そこからはじまると思っていたし、それは今もそう思う。
ただ、なんとなく気負いがあった。もっと適当に遊べばよかったと思う。
今年も、夜の伊自良川にカヌーを浮かべた。
川霧のたつ湧水の川面を漕ぎ上がる。
蛍が舞う。水を切るパドルの音に驚いた魚が飛び跳ねる。
音もなくすすむ船は、"やまのりゅう"なのだ・・・。そんなふうに船に酔うのも一興かもしれないと思う。
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30年もののカヌー。56年もののボク。メンテナンスフリーでどこまでいけるかなあ。
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