10年ほど前、『ニュースステーション』という番組が、「水」についての特集を組み、久米宏さんが、水のまち・郡上八幡を訪れたことがあります。そのとき、長良川河口堰の反対運動の関係で、Aさんとボクは、長良川流域の案内係をしました。
郡上の釣りの名人恩田翁と久米さんが、吉田川でアマゴ釣りをするという場面の撮影。
名人と一緒でも、釣果は上がらず、久米さんは、
「ヤラセはなし。"天気晴朗なれど、久米釣れず。"ということでいきましょう。」
と、スタッフの方々に指示してみえました。
そのとき、ボクたちは、旅館の方から昼食のおにぎりを預かっていました。長良川の支流・吉田川の川原での昼食。みんなで、おにぎりを食べた瞬間、恩田翁が
「このおにぎりを持ってきたのは誰や!」
と、すこし強い口調で言われました。
"干す"という語呂で、「漁師は、梅干を嫌う。」のだそうです。同様に、「坊主も嫌う」そうです。
梅干しのおにぎりを運んだ坊主としては、一匹も釣れなかっただけに、複雑な思いでした。ところで、なぜ、まったく釣れないことを「坊主」というのでしょうか・・・。
やはり、郡上の漁師、安福翁から聞いた話。
「アマゴやイワナを釣って山の中に入り、山奥の村の人にあうと、ワシら漁師は"殺生をする者"と言われ、嫌われた」のだそうです。
理由があってもなくても、嫌われるというのはあんまりいい気分じゃないですね。
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